所有者不明土地とは
相続登記がされないこと等により、以下のいずれかの状態となっている
土地を「所有者不明土地」といいます。
① 不動産登記簿等を参照しても、所有者が直ちに判明しない土地
② 所有者が判明しても、所有者に連絡がつかない土地
所有者不明土地の課題と解決策
課題
①所有者の特定が困難:
所有者が不明な土地は、所有者の特定や連絡が難しいため、土地の利用や管理が困難です。
特に、相続手続きが行われていない場合や、所有者が多くの相続人に分かれている場合、所有者の特定がさらに複雑になります
②土地の有効活用ができない:
所有者不明の土地は、開発や再利用が難しく、放置されることが多いです。
放置された土地は、雑草やゴミの問題を引き起こし、地域の環境や景観に悪影響を与えることがあります。
③災害復旧の妨げ:
自然災害が発生した際、所有者不明の土地が復旧作業の妨げとなることがあります。
所有者の協力が得られないため、復旧作業が遅れることがあります。
解決策
①相続登記の義務化
相続登記を義務化し、相続手続きが迅速に行われるようにすることで、所有者不明土地の発生を防ぐことができます。
~相続登記の申請義務についてのルール ~
A 基本的なルール
相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
B 遺産分割が成立した時の追加的なルール
遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなければなりません。
C 義務に違反した場合
A・Bともに、正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
②土地・建物に特化した財産管理制度の創設
所有者不明土地・建物の管理制度
<所有者不明土地・建物の管理人の権限・義務等>
・ 管理人は、保存・利用・改良行為を行うほか、裁判所の許可を得て、対象財産の処分(売却、建物の取壊しなど)をすることも可能です。
・ 管理処分権は管理人に専属し、所有者不明土地・建物等に関する訴訟においても、管理人が原告又は被告となります。
・ 管理人は、所有者に対して善管注意義務を負い、共有の土地・建物を管理する場合は、共有者全員のために誠実公平義務を負います。
・ 管理人は、所有者不明土地等(予納金を含む)から、費用の前払・報酬を受けることができます(費用・報酬は所有者の負担)。
③管理不全状態にある土地・建物の管理制度
管理人の権限・義務等
<管理不全土地・建物の管理人の権限・義務等>
・管理人は、保存・利用・改良行為を行うほか、裁判所の許可を得て、これを超える行為をすることも可能です。ただし、土地・建物の処分をするには、所有者の同意も必要です。
・管理処分権は管理人に専属せず、管理不全土地・建物等に関する訴訟においても、所有者自身が原告又は被告となります。
・管理人は、所有者に対して善管注意義務を負い、共有の土地・建物を管理する場合は、共有者全員のために誠実公平義務を負います。
・管理人は、管理不全土地等(予納金を含む)から、費用の前払・報酬を受けることができます(費用・報酬は所有者の負担)。